GC8のエンジン修理についてのお話
2022 / 01 / 30 ( Sun )

弊社エンジン部門ではEJエンジンについては数多くのオーバーホール作業を行なってきましたが、昨今、少々困難に直面していることがあります。
それはGC8のEJエンジン修理です。

GC8のエンジンは大きく分けると3世代ありますが、過去に毎年のようにモデルチェンジと性能アップを果たしてきただけに、エンジン部品も細部で多くの仕様変更があります。そのために、破損したエンジンを修復するために、もし再生不可能な基幹部品があった場合にはその部品調達に非常に苦戦するようになってきました。
すでに廃盤となっている基幹部品も多く、また部品取りとなる良質な中古エンジンは絶望的になりつつあるために、ご依頼をいただいた場合にもその作業は技術的ではなく部品選定として困難を極めます。

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ちなみに、GC8のEJエンジンは、各年代とモデルによってそれぞれ互換性の無い(ECUセッティングや基本性能が変わってきてしまうという意味で)部品が使われています。またWRX-STIとWRXではそれぞれ同世代(同アプライド)であってもこれまた使用部品が異なります。
〜初期 EJ20G(各種タイプ+各STI系&WRX系)
〜中期 EJ20K(2種+各STI系&WRX系)
〜後期 EJ207 (1種+各STI系&WRX系)
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なお、EJエンジンの定番のトラブルとしては<メタルトラブル>です。アイドリングまたは回転を上げた時に回転数に比例して<カンカンカン・・>と鳴るあのトラブルです。経年劣化によりクランクシャフトやコンロッドのメタルが磨耗し最終的には破損してしまう状況です。おなじEJエンジンながらGC8のそれはGDB以降のモデルに搭載されているEJエンジンよりもその発生確率が高いように思います。おそらく部品精度や当時のオイル管理についての情報が少なかったことに起因しているのかもしれません。ちなみに、カンカンが盛大に聞こえるときはかなり深刻であると思って下さい。かすかに聞こえる程度でもそれなりのダメージが確実に進行しています。(なのでトラブルが出た場合には少しでも被害を拡大しないようにエンジンをかけないようにすることをお勧めします)

もし、メタルトラブルが出てしまった場合ですが、大抵の場合はクランクシャフトは交換となります。また音が大きめになっているものであれば、メタル破損の金属カスがオイル循環とともにエンジン内部の細分にまでいき渡ることになるので、ピストンやカムシャフト(ヘッドASSYもセットで)を再生不能なまでに傷つけてしまいます。そのような場合、いままであればピストンやヘッドASSYを交換すればよかったのですが、すでにそれらの部品の入手が非常に困難で、かつ新品でも手に入らないため、”お金をかければ治る” というものでもなくなってきているのが非常に怖いところです。

ということで、今回のもっともお伝えしたかった事です。
現在GC8を大切にお乗りの方は、できましたらメタルトラブルが発生する前にぜひとも<エンジンオーバーホール>をしていただくことをお勧めします。
たとえ過走行だったとしても実働の健康エンジンであれば、ピストンリングやメタル、オイルシールなどの消耗部品を交換する通常のオーバーホールをすれば新品時のような性能を取り戻すことができますし、費用も圧倒的に少なくて済みます。

(もちろん、不幸にもトラブルが出てしまった場合、ご相談いただければベストを尽くしたいと思います)

以上、GC8のEJエンジンについてのお話の第一話でした。

ちなみに、チューニングエンジンを作るのであれば、GDB以降の部品や社外部品を多用しながら頑丈でモダンテイストのモノはいくらでも製作することはできます。しかしながら、GC8を大切にされるかたの中には ”いかに純正状態を再現できるか” というところにこだわりたい方も多くいらしゃるのではと想像しています。ですので、より部品入手が厳しくなってきた将来にむけて、弊社ではその課題をうまくクリアできるような研究&模索をしており、ある程度の代替えプランも少しずつ形になり始めています。
(詳細については、近日”続編” にてまたアップしたいと思います)

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